今日は、CRE(企業不動産)について書いていきます。
あまり知られていないCRE分野ですが企業の経営戦略においてアセット活用は重要な側面の1つです。
各社の不動産におけるトレンド
最近では、伊藤忠や住友商事,三菱重工,凸版印刷なども都心部に近いエリアに従業員の寮に投資をしています。
なぜ、このタイミングで首都圏に寮を建設するかはまた別の機会に解説します。
一方、日立Gは本業外の資産を売却する方向性を示しています。(海外の原発事業でも赤字)
各会社のアセット戦略を見ていくと、確実に売却 (Exit) できる考えを持っていることが分かります。
オフィスビル
最近は、渋谷にサイバーエージェントのAbemaビルがありますが実は借りものです。
分譲は住友不動産が行っています。

Abema Towersと書いてあるのは、1棟借りをしているのでシンボル設置ができたのだと思います。
リースバックも有効的な技
その隣の外資系メーカーは、自社ビルで建設したものを米ブラックストーンに売却を行っています。
ブラックストーンは、大手の投資ファンド運用会社です。
名前の似ているブラックロックは、元はブラックストーンの債券運用部門から独立しています。
売却したと言ってもリースバックという方法で賃借を続けています。
売却するメリットは、所有していない不動産は貸借対照表に記載されなかったのです。
つまり、バランスシート(貸借対照表)が軽くなり、自己資本比率も上昇します。
結果として企業価値が上がる可能性がありました。
※2019年からは新会計基準が導入されたので、今までオフバランス処理してきたリースがオンバランスとなります。
(使用権資産の考え方)
つまり、所有・賃借でも帳簿上のメリットはなくなっています。
1棟売却したことにより手元に現金が残るので、新たな投資に望みやすいのです。
また、借りている分賃料はかかりますが、長期修繕にかかるお金が減るので、ある程度の築年数で売却するのは有効な選択です。
(ちなみに、現金がなく会社を立て直す時の方法としても用いられます)
運用会社が買う理由
実績あるファンドが不動産を購入する理由は、賃貸による利益が見込めるからです。
それには、テナントにどんな会社が賃借するのか非常に大切になります。
つまり、中途半端な会社だと支払いリスクもあり家賃を滞納されると怖いわけです。
もちろん約定で賃借年数を縛ったりするのですが、信頼性がある会社でなければ運用会社は手をつけません。
逆に言えば信頼できる会社が借りていることの証明でもあるのです。
自社ビル売却によるデメリット
自己の所有物ではなく賃借となるので、自分の好きなようにアレンジすることができなくなります。
ですが、事前に大規模な改修を行い自分たちの使い勝手の良さを整えて売却すれば特段問題はありません。
保有するデメリット
不動産を保有するにもお金がかかります。税金や室内の補修費、建物本体の老朽対策など将来にわたりたくさんお金を払います。
また、老朽してから売却するにしても買い手がつきにくいケースもあるのです。
以上が最近のCREのトレンドをざっくりまとめたものです。
日本では、不動産を持っていた方が良いという考えが強いですが、欧米ではLEASE or BUYの概念で、どちらの方が合理的なのか?を数字で判断するケースが多いです。
会社の状態に合わせた戦略をとっていくことが重要ですね。